インストルメントパネルができるまで

Production Flow

しげる工業が製造する自動車内装品の中で代表製品ともなっているインストルメントパネルの、
新モデル開発から出荷までをご紹介します。新モデル車向けのインストルメントパネルは、設計から生産開始までにほぼ2年かかります。

しげる工業のインストルメントパネル基礎知識

  • インストルメントパネルとは

    運転席と助手席の前、フロントガラス下に横幅いっぱいに取り付けられる内装品で、各種メーターやオーディオ、助手席エアバッグ、エアコンスイッチなどが納められている部分です。自動車1シリーズにつき400~500種類になる超多品種製品でもあります。完成したインストルメントパネルは、支えとなる金属製のビームパイプの上に取り付けられます。 各種メーターを取り付けた計器板のみをインストルメントパネルと呼ぶこともありますが、当社製品としては上記のようにとらえています。

  • インストルメントパネルの構造

    現在、大多数の乗用車のインストルメントパネルは、3層構造の樹脂材からできています。表面の感触は軟らかく高級感があります。3層の一番下が固い芯材で、インジェクション(射出成形)で製造します。一番上はソフト感のある表皮材で、熱可塑性樹脂の粉末を金型内側に分布し溶融させるスラッシュ成形法で作ります。この芯材と表皮材を重ね合わせてその間に発泡性の樹脂を注入し、中間層にクッション性のあるフォーム層を形成します。 当社はこの3層構造製造技術に早くから取り組み、長い技術蓄積を持っています。

  • モジュール化納品

    当社のインストルメントパネル生産の大きな特色は、組み立てが済んだモジュールとして製造できることです。つまり、ビームパイプにセットして、メーター、オーディオ、エアバッグをはじめ数百種に及ぶ部品を組み込み、コックピットモジュールとしてカーメーカーに納入するのです。これによりカーメーカーは組み立てラインを大幅に短縮できます。 このモジュール化納品は、他ではあまり見ることがない独自性のある生産方式です。

インストルメントパネルができるまで

  1. 開発・設計

    • 計画図作成

      カーメーカーの開発設計にゲストエンジニアとして加わり、新デザインに対する製品の計画図(構想図)を作製し、製造が成立するかどうかを検討します。形状、構造、材質、目標品質など、設計の大本が決まります。

    • 基本設計(3DCAD)

      カーメーカーのデザイン部門、設計部門とも検討を重ねながら、計画図を元に製品設計を進めます。

  2. 量産設計

    • 量産設計

      カーメーカーでの設計が固まると、しげる工業での製造のための設計に移行します。基本設計を元に製造工程・組立工程を考えた設計、CAEによる解析を行い、生産技術、品質管理とも検討を重ねます。

    • 試作~試験

      次に設計データに基づいて試作品を製作し、試験・評価を行い、問題箇所は設計修正します。これが何度も繰り返されます。

  3. 生産計画

    • 生産技術

      量産設計が進むのと同時に、製造工程、技術、設備、材料の検討を行います。設計と生産技術のエンジニアが連携し、効率の高い、品質を確保できる生産ラインを設計、構築します。

    • 設備開発

      新たに必要な設備、加工や検査に必要な治具は、その多くを自社内で開発、製作します。

    • ライン計画

      1つのインストルメントパネルの製造には、工場内各所のラインと膨大な工程が連携して動く計画が必要です。生産数量、材料、部品の確保、ラインの稼働日程、人員などの計画を立て、試作を繰り返して本稼働に入ります。

  4. 製造工程

    • 射出成形

      インストルメントパネルの基盤層である芯材を射出成形で製造します。プレス機は、省電力と環境負荷低減のために油圧式から電動式へと変わっていて、2500トンの電動式超大型成形機が稼働中。金型も10トン近い大型です。

    • 表皮成形

      高級な質感がある表面のスキンシートをスラッシュ成形で製造します。樹脂パウダーをインストルメントパネルの凹型金型に入れて、外側からハンマーで叩いて均一に展開し、加熱溶融した後冷却して引き剥がします。

    • 発泡工程

      台座に載せたインストルメントパネル芯材に表皮材を被せ、上から金型で蓋をして、芯材と表皮の間に発泡樹脂を注入。加熱加圧して冷やしてから蓋を開けて、3層構造が形成されたインストルメントパネルを取り出し、周囲のはみ出しをトリム機でカットします。

    • 塗装工程

      各種パーツの塗装を行います。インストルメントパネル本体は表皮があるので塗装はしませんが、別部位の内装品では、UV塗装など高度な塗装技術とロボットを使った塗装を施すものがあります。

    • 溶接工程

      インストルメントパネルを支持するビームパイプに、エアバッグの取付金具など多数の金属部品を溶接していきます。溶接工程は工場内の広い部分を占めています。

  5. 組立工程

    • 部品ピッキング

      まず、1つのインストルメントパネルに組み付ける部品を順番どおりに台車1台に集めます。部品の数は300にのぼり、車種・モデルによって使う部品も異なります。取り間違いを防ぐためQRコードで管理しています。

    • ワイヤーハーネス取り付け

      ビームパイプに、電源や信号通信のケーブルの束(ワイヤーハーネス)を取り付け、配線します。

    • 組み立てライン

      U字型のラインを、インストルメントパネルが載った専用台車が自動的に移動しながら組み立てが進む方式です。台車の下段にはビームが付いたインストルメントパネルが載り、上段に一揃いの部品が並んでいます。配置された作業者が、台車が移動してくると担当の組み付け作業を行い、終わると台車が次へと移動していきます。一周するとモジュール化したインストルメントパネルが完成します。
      最終チェックを行ったインストルメントパネルは出荷待機エリアに運ばれます。

  6. 出荷

    • 出荷

      インストルメントパネル完成品は、その日お客様(カーメーカー)の組み立てラインに載るモデルの順番に時間と型式を合わせて納品します。